まるおの米国株研究所

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【企業分析】クアルコム社(QCOM)

ファイル:Qualcomm-Logo.svg - Wikipedia

(出典:https://www.qualcomm.com/home )

 

企業概要

 クアルコムQualcomm Inc)は、主にスマートフォンや、自動車、IoT向けにワイヤレステクノロジー半導体の技術開発、立ち上げ、拡張に取り組む半導体会社です。

 

事業内容

 第3世代(3G)、第4世代(4G)のワイヤレステクノロジー、および5Gのワイヤレステクノロジーの提供を専門としています。現在は、第5世代(5G)などの技術の開発、立ち上げ、拡張に取り組み、以下の3つの事業セグメントで事業を展開を行なっています。
1. 「Qualcomm CDMA Technologies(QCT)」セグメント
2. 「Qualcomm Technology Licensing(QTL)」セグメント
3. 「Qualcomm Strategic Initiatives(QSI)」セグメント

 

技術

⭐︎モバイルデバイスや、その他のワイヤレス向け製品

1. ネットワーク機器

2. ブロードバンドゲートウェイ機器

3. 家庭用電化製品

4. 自動車

5. コンピューティング

6. モノのインターネット(IoT)

7. ネットワーキング

 

製品

Snapdragon(スナップドラゴン)

 

 スマートフォンに幅広く採用されているモバイル通信向けの半導体です。CPU(中央制御向けIC) /GPU(画像処理向けIC)/ DSP(演算処理向けIC)、Connectivity(接続機器)、Power Management(電源制御装置)などを統合したチップセットで、カメラ、業務用タブレットスマートスピーカーなどのIoT向けにも幅広く使われています。

出典:

https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/manufacturers/qualcomm/products/133124/

 

 モバイル向けの半導体は、PCむけのCPUや、GPUとは異なり、高性能と低消費電力が求められる半導体です。そのため、PCむけの半導体を作っているインテルAMDNVIDIAとは異なり、競合とはなりません。スマートフォンのAP(Aprication Prosessor)の売上では、2022-Q2時点で圧倒的なシェアを誇っています。

出典:https://iphone-mania.jp/news-489779/

 

 また、直近ではSnapdragon6 series/ 8 seriesがクアルコム社から提供されており、Snapdragon Neural Processing Engine SDK(AI演算を高速に行うことができるソフトウェア開発キット)を用いて、学習済みAIアルゴリズムをOn-Deviceで効率的に実行できるようになっているようです。つまり、各企業がAIの事業化に向けて、続々とAI処理向けの半導体を開発しているということです。

 

 AI処理向けの半導体(Neural Processing Engine)は、AMD、NVDIIA、Google、QCOMなどを中心に、開発が進んでいますので、今後どこが覇権を握っていくのかが非常に注目されます。今後の半導体銘柄の鍵を握るのは、間違いなくエッジデバイス(データセンターではなくスマホ・自動車など)上で高性能かつ、省電力、安価にAI推論処理ができるデバイスを開発することができる企業となるでしょう。現在はAMDNVIDIAがリードしていますが、QCOMも食いついていけるか注目です。

 

事業ポートフォリオ

 主に、スマートフォン向けの半導体「Snap Dragon」シリーズを展開しており、現在は、自動車むけの半導体のシェアを拡大させています。

 

出典:https://d1io3yog0oux5.cloudfront.net/_4261a2c2b087b768eddacfde376aa516/qualcomm/db/773/7199/file/FY2022+4th+Quarter+Earnings+Presentation.pdf

円グラフにするとこのようになります。

 上図のようにスマートフォンの比率が非常に大きいです。すべてのセグメントにおいて、同じ半導体シリーズをベースに作られているので、全く異なる半導体を販売しているわけではなく、ハイエンド(高性能・高価)、ローエンド(低性能・安価)なCPU、GPUDSPや、周辺機器などを組み合わせたチップ(SoCと言います)を販売しています。2022/Q4の各セグメントの成長率は以下のように報告されています。

出典:

https://d1io3yog0oux5.cloudfront.net/_4261a2c2b087b768eddacfde376aa516/qualcomm/db/773/7199/file/FY2022+4th+Quarter+Earnings+Presentation.pdf


 シェアの大きなスマートフォン事業が現在は好調であるため、成長率は大きく出ている。今後期待される自動車向け、IoTむけの半導体も40%前後の伸びを記録しているがまだシェアが小さいため、徐々に売上に占める割合も大きくなってくることでしょう。

 

 特に自動車向けの半導体は、電気自動車推進法案で$7,500の税額が免除されることを皮切りに、EV化が進めばQCOMには強い追い風が吹きます。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-12-20/treasury-delays-some-limits-on-tax-credits-for-electric-vehicles


 さらに、上記で述べた、AI推論向けのプロセッサが主流になり、ビジネス化され始めれば、IoT向けの売上にも強く影響を及ぼすことは間違いないです。ただし、エッジコンピューティングを用いたAI処理は、商用化が進んでおらず、いまだ開発段階であるため、収益がで始めるのはまだまだ先になることは認識しておく必要があります。


最新版は以下より確認できます。

investor.qualcomm.com

 

 

投資家向け情報

 

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(出典:Tradingview.com )



以上です。